出典:戦国策
「羊を亡いて牢を補う」とは?
「羊を亡いて牢を補う」とは、「羊が逃げてしまった後で、やっとその囲い(牢)に穴が空いているのを見つけ、慌てて修理する」という故事に基づく言葉です。
中国語では「亡羊補牢(wáng yáng bǔ láo)」と書かれ、「問題が起こったあとでも、すぐに手を打てば被害を拡大せずに済む」という意味を持ちます。日本語で言えば「後の祭り」ではなく、
「遅すぎるということはない」「失敗に気づいたら即座に対策を打つべきだ」といった前向きなメッセージを伝える故事です。
「羊を亡いて牢を補う」の背景
ある人物が羊小屋(牢)から羊が逃げ出してしまった後、ようやく穴の空いた場所に気づきます。周囲の人々から「今すぐ修理をしておけば、これ以上の被害は出ない」という助言を受けて修理をすると、羊の脱走を止められた――というストーリーが語られています。
物事がすでに起こった後であっても、迅速に対応すれば「被害の拡大」を防ぎ、将来的な損失を回避できるという教訓を、わかりやすい比喩として示しているのです。
「羊を亡いて牢を補う」が教える現代の示唆
1. 「気づいたときが改善のタイミング」
- ビジネスのプロジェクト管理
プロジェクトの納期や品質に問題が発覚しても、「もう手遅れだ」と放置するのではなく、少しでも早く対策を打てば、大きなトラブルを回避できる可能性が高まります。 - 個人のキャリア形成
スキルの不足や人脈の弱さに気づいたなら、すぐに学習やトレーニングを始めましょう。年齢や状況を理由に諦めるより、行動を起こすほうがはるかに実りが期待できます。
2. 「被害を少なくする視点」
- 情報漏洩やセキュリティ対策
すでに一部が漏洩した場合でも、その後の対策を素早く講じれば被害を最小限にとどめられます。 - 設備投資や品質管理
故障や欠陥があったら、今からでも改修を行うことで、将来的に生じうる重大事故や損失を防げるかもしれません。
3. 「失敗を糧にする思考法」
- 「失った羊」は戻らないかもしれない
しかし、その後の対策で同じミスを二度と繰り返さないようにすることで、プラスの転換点を生み出せます。 - “行動の遅れ”を悔やむのではなく、“これから”を見つめる
ややもすると自己否定に陥りがちですが、「羊を亡いて牢を補う」の物語が示すように、「後悔」よりも「再発防止」に意識を向ける姿勢が重要です。
まとめ
「羊を亡いて牢を補う(亡羊補牢)」は、すでに羊が逃げたという“過去の損失”を嘆くだけでなく、「今からでも穴をふさげば、それ以上の被害を防げる」という教訓を示す言葉です。
ビジネスや日常の場面でも「もう手遅れだ」と思い込んでしまいそうな局面は多々ありますが、この故事を思い出してみると、問題がわかった時点で修正を始めるのがベストというポジティブな指針が得られます。
結局のところ、「遅すぎる」という絶対的なものはありません。行動を起こせる今こそが、改善のスタート地点になり得るのです。
ぜひこの「羊を亡いて牢を補う」の精神を胸に、仕事や生活の様々な局面で臨機応変に対策を打ち、次なるチャンスをつかんでいきましょう。

田中部長と「亡羊補牢」~営業部、ミスの後で慌てるな!?~
ある日、営業部は 「クライアントからの厳しいクレーム」 に直面する。だが、田中部長は 「問題が起きた後に対策すればいい!」 という “亡羊補牢” (羊を亡くしてから柵を直す=失敗後の対策)の精神を持ち出し、営業部は ミスの後始末で大混乱 に突入することに!?
【登場人物】
- 田中部長(50歳):基本ポジティブ。「失敗はしても、あとで対策すればいい」と考える楽観派リーダー。
- 山本課長(40歳):冷静なツッコミ担当。部長の “後から修正すればいい” 理論に頭を抱える。
- 佐藤さん(25歳):天然で無邪気。部長の指示を そのまま鵜呑みにして、余計な混乱を生む。
田中部長:「みんな!! これは “大事件” だ!!!」
佐藤さん:「ええっ!? 何があったんですか!?」
山本課長:「どうせまた部長のミスですよね…。」
田中部長:「……いや、まさにその通りだ!!!」
佐藤さん:「えええええ!!??」
山本課長:「認めるのは早いですね…。で、今回は何をやらかしたんです?」
田中部長:「クライアントの田村商事に送った 契約書の金額を間違えた!!」
佐藤さん:「えっ!? どのくらいのミスですか?」
田中部長:「500万円のはずが、5,000万円になってる!!」
山本課長:「えええええ!!! それ、めちゃくちゃ大問題じゃないですか!!」
田中部長:「だが、慌てるな!! こういう時こそ “亡羊補牢” の精神だ!!」
佐藤さん:「亡羊…? えっ、羊ですか?」
山本課長:「“羊を失ってから柵を修理する”って意味で、 “失敗しても、すぐ対策すれば損害は最小限にできる” っていう教訓ですよ。」
田中部長:「その通り!! 大事なのは“今からどうするか”だ!!」
山本課長:「いや、そもそも 最初からミスを防ぐのが大事 ですよね!?」
【田中部長の「亡羊補牢」作戦】
【作戦①:「間違えたことに気づかなかったフリをする!」】
田中部長:「まず、 クライアントが気づく前に訂正すれば、ミスではなくなる!」
佐藤さん:「えっ!? そんなことできます?」
山本課長:「いや、クライアントは絶対に契約書の数字を確認しますよ!!」
田中部長:「いや、逆にクライアントが気づいても、 “この金額は将来のビジネス拡大を見越したものです”と言い張る!!」
山本課長:「いやいや!! そんなこと言ったら、完全に詐欺っぽくなりますよ!!」
佐藤さん:「じゃあ、私がクライアントに “未来への投資です!” って言ってきます!」
山本課長(小声で):「それ絶対怒られるやつ…。」
【作戦②:「訂正するなら、さらにインパクトを出せ!」】
佐藤さん:「部長!! クライアントが “金額おかしくない?” って電話してきました!!」
山本課長:「ほら来た!! ちゃんと謝りましょう!!」
田中部長:「待て!! ここでただ謝るのではなく、 “もっと大きなミスを暴露” して相手の注意をそらす!!」
佐藤さん:「えっ!? どういうことですか?」
田中部長:「例えば “実は契約書のフォントも間違えてました!” と言えば、金額のミスが小さく見える!!」
山本課長:「いや、それ ミスを二重にしてるだけ ですよね!??」
佐藤さん:「じゃあ、私、クライアントに “実は契約書のデザインがダサかったです!” って言います!」
山本課長(小声で):「余計なこと言うなー!!」
【作戦③:「最終手段:全部ジョークにする!」】
佐藤さん:「部長!! クライアントが “金額ミスはちょっと…” って困惑してます!!」
山本課長:「いや、当然ですよね!!」
田中部長:「ならば最終手段だ!! “これはユーモアです” と言い切れ!!」
佐藤さん:「えええ!? そんなので誤魔化せるんですか?」
田中部長:「“うちの営業部は、ジョークでお客様を笑顔にする会社です!” って言え!!」
山本課長:「無理がありすぎるーーー!!!!」
【商談当日:衝撃の結末】
(営業部、クライアントのオフィスへ)
クライアント:「いや、正直、500万円が5,000万円になってるのは…ちょっと…」
(全員一斉に深々と頭を下げる)
佐藤さん:「すみません!! でも、これは“笑顔になれる契約”です!!」
クライアント:「えっ?」
田中部長:「いや、実は、今回のミスを機に “契約内容をグレードアップ” して、よりお得なプランを考えました!」
クライアント:「……へぇ?」
山本課長(小声で):「部長、適当に言ってますよね…?」
クライアント:「では、新しいプランを確認させてください。」
佐藤さん:「あっ…すぐ考えます!!」
山本課長(小声で):「えええ!? まだ考えてなかったの!?」
【まさかの逆転!?】
(新しい提案が思いのほか気に入られ…)
クライアント:「では、修正した契約で進めましょう。」
佐藤さん:「えっ!? 本当に!?」
田中部長:「見たか!! これが “亡羊補牢”営業だ!!」
山本課長(小声で):「いや、もう少し事前にミスを防ぎましょうよ…。」
こうして営業部は、 「ミスの後で慌てて修正する戦法」 により、なんとか契約を成立させた。しかし、この方法が次回も通用するかは 完全に未知数 であった――。