騏驥の跼躅は駑馬の安歩に如かず/着実に歩を進める者が結果を残す

成功

出典:不明(『荀子』『漢書』など諸説あり)

「騏驥(きき)の跼躅(きょくちょく)は駑馬(どば)の安歩に如かず」とは?

「優れた馬が足をすくませて動けなくなるような様子は、平凡な馬が落ち着いて歩む姿に及ばない」という意味です。
ゆえに、「優れた能力があっても、それを活かせず足踏みしているなら、平凡でも着実に歩を進める者のほうが結果を残せる」という教訓です。

「騏驥(きき)の跼躅(きょくちょく)は駑馬(どば)の安歩に如かず」

  • 騏驥:血統が優れ、走る速度や力に優れた“名馬・逸材”
  • 跼躅:尻込みしたり、足をすくませているような動きや、ためらいがちな足取り
  • 駑馬:ごく普通の平凡な馬
  • 安歩:落ち着いて悠々と歩くさま

「騏驥の跼躅は駑馬の安歩に如かず」の出典と背景

この故事は古代中国の諸書(『荀子』『漢書』など)に見られる兵法・人材論・学問奨励のエピソードと結び付けられることがあります。ただし、現在流布している形――「騏驥の跼躅は駑馬の安歩に如かず」が、正確にどの古典の何巻にあるかは、必ずしも明確ではありませんが、中国のwebサイト「百度」には、「史記」と記載されています。


いずれにせよ、“才能と努力(あるいは行動)”の関係を鋭く突いた格言として、古くから人々に引用されてきました。

類似の有名な言葉

  • 「騏驥一躍して十歩を走る能(あた)わず、駑馬十駕して功をなす」(『荀子』勧学篇)
    「どんなに名馬でも、一足飛びで長距離を進むのは難しい。凡馬でも粘り強く歩めば功を成す」という考え方。
  • 「行動と継続」の大切さを説く言葉であり、本質的には「騏驥の跼躅…」の格言と同じく、優れた素質だけで安心してはいけないことを教えてくれます。

現代への教訓:才能 vs. 継続

A. ビジネスでの応用

  1. 一瞬のひらめきだけでは結果は出ない
    いくら画期的なアイデアを思いついても、実行や継続が伴わなければ形になりません。才能豊かな人材も、戦略を練るだけで止まってしまえば、粛々と手を動かすチームには勝てない場合があります。
  2. 組織運営:淡々と業務をこなす人の強み
    目立つ“天才肌”の社員よりも、コツコツ成果を積み上げるタイプの人がチーム全体を支えているケースはよくあります。長期的に見ると、周到な安歩(あんぽ)こそが大きな成果をもたらすことも多いものです。

B. 個人のキャリア形成

  1. 才能に甘えず、こまめな学習や更新を続ける
    もし自分が「少し得意分野がある」と思っているなら、そこに安住せず、日々自分のスキルを磨く努力を怠らない姿勢が重要です。

2. 平凡でも確実な前進を侮らない

大きな才能が見つからなくても、地道な努力は強い武器になります。ささやかながら安定した足取りが、大きな実績へとつながる可能性を秘めています。

まとめ

「騏驥の跼躅は駑馬の安歩に如かず」は、才能や優位性を持っていても、それを活かして実際に行動しなければ、平凡でも堅実に進む姿勢には及ばないという教えです。
ビジネスや日常生活のあらゆる場面で、

  1. 一瞬の閃きよりも、行動の継続を重視する
  2. “大器”も足踏み状態なら、堅実な努力に追い抜かれてしまう
  3. 小さな歩みが大きな成功を呼ぶことを侮らない

といった考え方を取り入れたいものです。
もしあなたが「自分には突出した才能がない…」と感じても、少しずつ安歩を続けていれば、いつの間にか大きな目標地点に到達できるかもしれません。逆に「自分は天才だ」と思っていても、行動を止めれば他者にあっという間に追いつかれるリスクがあります


田中部長と「騏驥の跼躅は駑馬の安歩に如かず」~営業部、焦りすぎて自滅!?~

ある日、営業部に 「3か月後に開催される超重要プレゼン」 のチャンスが舞い込む。しかし、田中部長が 「スピードこそ正義!」 と主張し、営業部は 「焦る天才 vs コツコツ派」の大混乱 に突入することに――!?


【登場人物】

  • 田中部長(50歳):とにかくスピード重視。天才的ひらめきを持つが、焦りすぎて失敗することが多い。
  • 山本課長(40歳):冷静なツッコミ担当。「まず落ち着け」が口癖。
  • 佐藤さん(25歳):天然で無邪気。部長の意見にすぐ乗っかるが、基本的にマイペース。

田中部長:「みんな!! ついに “運命のプレゼン” がやってきたぞ!!」

佐藤さん:「ええっ!? どんなプレゼンですか?」

山本課長:「また大げさな… 今回は何なんです?」

田中部長:「3か月後に 業界最大手のクライアント に向けたプレゼンのチャンスをもらった!! ここで成功すれば、うちの営業部は 伝説 になる!!」

佐藤さん:「わあ!! すごいですね!!」

山本課長:「確かに、それは大きなチャンスですね。でも3か月あるなら、しっかり準備すればいいんじゃないですか?」

田中部長:「いや!! ここは スピード勝負だ!!

佐藤さん:「えっ!? でも、焦ると失敗しません?」

山本課長:「部長、焦る必要ないですよ。 “騏驥の跼躅は駑馬の安歩に如かず” って言葉、知ってます?」

佐藤さん:「えっ!? なんですか、それ?」

山本課長:「“才能があっても焦って足踏みしてたら、地道に歩く普通の馬にも負ける”って意味です。」

田中部長:「いや!! これは “最初に走り出した者が勝つ” ということだ!!!」

山本課長(小声で):「絶対違う…。」


【田中部長の「スピード最優先」作戦】

【作戦①:「まず1日で資料を完成させろ!!」】

田中部長:「とにかく!! まずは 1日でプレゼン資料を作る!!

佐藤さん:「えっ!? 3か月あるのに、1日で!?」

山本課長:「いや、しっかり考えて作らないと…」

田中部長:「とにかくスピードだ!! まず形にすればいいんだ!!」

(5時間後… 資料が完成!! 🎉)

佐藤さん:「できました!! すごいスピードですね!!」

山本課長(資料を開く):「……えっと、部長?」

田中部長:「どうだ!? 早さは正義だろ!!」

山本課長:「 内容、スッカスカなんですが!?

(資料の内容)

  • 1ページ目:「成功するためには?」(何も書かれていない)
  • 2ページ目:「頑張る!!」
  • 3ページ目:「お問い合わせは営業部まで!」(またこれ!?)

佐藤さん:「部長!! これじゃ何のプレゼンか分かりません!!」

田中部長:「大丈夫だ!! “勢い” で乗り切る!!」

山本課長(小声で):「もうダメだ…。」


【作戦②:「3日でプレゼン練習100回!!」】

田中部長:「プレゼンは 回数をこなせば上手くなる!!

佐藤さん:「確かに、練習は大事ですね!」

山本課長:「でも100回もやる意味あります?」

(1回目の練習)

田中部長:「皆さん!! 本日は “成功するためには?” についてお話しします!!」

佐藤さん:「……えっと、何を成功させるんですか?」

山本課長:「ほら、内容がスカスカだから話すことがないんですよ!」

田中部長:「よし!! もう1回!!」

(5回目の練習)

佐藤さん:「部長、もう 何回やっても内容が薄いまま ですよ…。」

田中部長:「くっ… だが スピードは上がった!!

山本課長(小声で):「いや、意味ないでしょ…。」


【作戦③:「早すぎるアポ取り!!」】

田中部長:「もう資料も練習も完璧だ!! 予定より 2か月半早く商談を申し込む!!

佐藤さん:「えっ!? まだ準備途中なのに!?」

山本課長:「部長、それ絶対まずいですよ!!」

(アポ取りの電話📞)

田中部長:「お世話になります!! プレゼンの件ですが、 来週に前倒ししていただけますか!?

クライアント:「えっ!? まだ3か月先の話なのに…?」

田中部長:「大丈夫です!! スピード重視です!!

クライアント:「いや、うちも まだ準備できてない ので…」

山本課長(小声で):「ほら言わんこっちゃない…。」


【まさかの逆転!?】

(3か月後、結局じっくり準備した資料でプレゼンを実施)

クライアント:「いや、最初は焦ってる感じがしましたが、最終的には しっかり準備されたプレゼン でしたね。」

佐藤さん:「あっ、よかった…!」

田中部長:「ほら見ろ!! 最初の勢いがあったからこそ、成功したのだ!!

山本課長(小声で):「いや、最後に落ち着いたからですよ…。」

クライアント:「では、次回の案件もお願いできますか?」

田中部長:「もちろんです!! 今すぐ準備します!!

佐藤さん(小声で):「また焦る気満々ですね…。」

こうして営業部は、 「焦る天才 vs コツコツ派」 の大混乱を経て、最終的に成功を収めた。しかし、この方法が次回も通用するかは 全くの未知数 であった――。


プロフィール
編集者
Takeshi

医療専門紙の取材・編集職を15年以上の経験があり、担当編集としての書籍は、8冊(うち2冊は中国・台湾版)があります。

本サイトでは、日々の生活やビジネスで役立ち、古くから伝わる故事成語の深い意味や背景をわかりやすく解説し、皆さまの心に響くメッセージをお届けしたいと思っています。歴史や文学への情熱を持ちながら、長年のメディア経験を通じて得た視点を活かし、多くの方に「古き知恵の力」を実感していただけるようにしたいと思います。

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