MENU

会稽の恥/失敗や挫折をバネにして成功を掴む!

会稽の恥 失敗
敗戦した越王・勾践が越王・勾践が薪の上に座り、胆を舐めながら決意

出典:史記呉越春秋

「会稽の恥」は、中国の呉越戦争の時代、呉王夫差(ふさ)と越王勾践(こうせん)の因縁から生まれた故事成語です。かつての屈辱を忘れず、再起を期す覚悟を表すものとして知られています。現代においても、失敗や挫折をバネにして逆境を乗り越える姿勢を学ぶことができます。   

「会稽の恥」の意味と出典

「会稽の恥」とは、呉越戦争での敗北を指し、特にその屈辱を忘れずに復讐や再起を誓うことを意味します。「会稽」は古代中国の地名で、現在の上海の近く浙江省紹興市近辺に位置しています。  

この故事は『史記』『呉越春秋』などの古典に記されています。春秋時代、呉王・夫差と越王・勾践が戦い、越国が敗れた際、勾践が会稽山に追い詰められ降伏しました。この屈辱的な敗北が「会稽の恥」として語り継がれています。  

物語の背景:呉越の対立

紀元前5世紀頃、呉国は軍事的に優れた国家であり、当時の覇権を争う勢力の一つでした。越国はその南隣に位置し、文化や経済面では発展していたものの、軍事的には劣勢でした。  

越王・勾践は呉国に戦さを挑むも、呉王・夫差の軍勢に大敗し、会稽山に追い詰められます。勾践は降伏し、屈辱的な条件を飲んで和平を結びました。その後、勾践は夫差に仕えるという形で奴隷のような生活を送ります。

この会稽山の敗戦で勾践は降伏して夫差の臣下になり、妻を妾として差し出すという屈辱を受け入れたのであった。勾践は不差にk恭順に従ったのです。

 勾践は野良仕事をし、妻には機を織らせていた。枕元には、苦い肝を置いて、その肝を嘗めながら言った言葉が「会稽の恥を決して忘れはしない」

このことから、前述の夫差と合わせて「臥薪嘗胆」という言葉、つまり目的を遂げるために苦心し、努力を重ねることになったのです。

その後、勾践は家臣・范蠡(はんれい)の助言にも従い、努力を重ねて越国の力を蓄え、とうとう呉をほろぼし覇者となった。これが「会稽の恥」の故事です。

逆境における耐忍と計画性

越王・勾践は屈辱を胸に刻みつつ、国内の再建と軍備増強に取り組みました。そして、ついに呉国を攻め滅ぼし、「会稽の恥」を晴らすことに成功しました。この故事から学べる点は下記の通りです。

  • 逆境を力に変える
  • 冷静な自己分析と計画
  • 人材の活用

現代ビジネスへの応用

「会稽の恥」は、ビジネスにおける逆境や失敗から学び、再起を果たすためのヒントを与えてくれます。以下は具体的な応用例です。

  1. 失敗からの学び : プロジェクトの失敗や競争相手に敗北した経験を糧に、改善策を練ることで次の成功につなげることができます。  
  2. 長期的視野と忍耐力 : 一時的な屈辱や損失に動揺せず、長期的な視野で目標を追求する姿勢が重要です.
  3. チームの結束と戦略的リーダーシップ : 勾践が人材を活用したように、現代のリーダーもチームの力を最大限に引き出すことが求められます。戦略的なリーダーシップによって組織全体の成功を目指すべきです。  

「会稽の恥」のビジネス教訓

逆境を耐え忍ぶ心の強さ:短期的な屈辱に屈せず、将来の成功に向けて努力を続けること。  

明確な目標設定と計画:失敗の原因を分析し、次の成功への道筋を描く。  

優れた人材の活用:チームの才能を活かすことが、困難を乗り越える鍵となる。

  

田中部長と会稽の恥~営業部、屈辱からの逆転劇~

シーン:営業部会議室

営業部のチームは、競合他社とのコンペに負けたばかり。プレゼン内容もさることながら、社内で唯一「自信満々で大風呂敷を広げていた」田中部長が、失敗の責任を追及されそうな空気が漂っている…。

【登場人物】

  • 田中部長:プライドが高く、失敗を認めたがらないが、愛嬌のあるリーダー。
  • 山本課長:冷静沈着だが時折部長を小馬鹿にする皮肉屋。
  • 佐藤さん:新人ながら気配りができるしっかり者。だが、無邪気さで地雷を踏むことも。

佐藤さん:「…で、結局、今回のコンペ、負けちゃったんですね。あんなに田中部長が『勝つのはウチしかない!』って豪語してたのに…。」

田中部長:(むせる)「ゴホン!佐藤くん、あえてその話題を蒸し返すのかね!?」

山本課長:(ニヤニヤしながら)「いや~、あれだけ『競合の弱点は知り尽くした』とか言ってた割には、向こうの提案にボコボコにされましたからね。まさに会稽の恥ってやつですね。」

佐藤さん:「会稽の恥?…それってどういう意味ですか?」

田中部長:(慌てて)「いやいや!そんな暗い故事を語る必要はない!あれは古代中国の話で、楚の国が越の国に負けて屈辱的な講和を結ばされた、ってだけのことだよ!」

山本課長:「細かいですねぇ。でも現代風に言えば、『勝てると思って余裕ぶっこいてたら、逆に負けて恥をかく』ってことじゃないですか?」

田中部長:「くっ…課長、君、私の威厳をどうするつもりだね…!」

佐藤さん:「でも、越の国ってその後リベンジしたんですよね?それってカッコいいですね!」

山本課長:「そうそう、越王勾践が耐え忍んで復讐を果たしたんだよね。『臥薪嘗胆』ってやつも、ここから来てる。」

田中部長:「わかってる!私も今、薪の上で寝るくらいの覚悟で再起を図るつもりだ!…佐藤くん、薪、調達してくれないか?」

佐藤さん:「えっ!?それって業務命令ですか?」

山本課長:「部長、それただのパワハラですよ。」

田中部長:「う、うるさい!とにかく我々も越の国みたいに這い上がるんだ!次回のコンペでは絶対勝つ!そのためには何でもやる!」

佐藤さん:「じゃあ、今回の提案内容を見直してみましょうか!例えば、私が資料を作り直してみます!」

山本課長:「それなら、競合他社のデータをもっと分析する必要がありますね。部長、今回は『勾践モード』で頑張りましょう!」

田中部長:「む…むう。課長、なんだそれは。」

山本課長:「部長が日々耐え忍んで成長する姿を見守る、ってことです!」

田中部長:(鼻息荒く)「フン!見てろよ、次回は絶対、勝つ!…佐藤くん、薪は本当にいらないから。」

こうして営業部は、田中部長を中心に再起を図ることに。失敗から学び、次のコンペでは見事勝利を収めたとか、収めなかったとか…。田中部長の「会稽の恥」は、果たして名誉挽回となるのか?それは次回のストーリーで明らかに――。

まとめ

「会稽の恥」は、屈辱や失敗に直面した際、それを乗り越える力を私たちに教えてくれる故事です。勾践のように、逆境を力に変え、冷静に計画を練ることで、どんな困難も克服することができます。  

現代ビジネスにおいても、失敗を恐れず、そこから学びを得て成長する姿勢が求められます。挑戦を続ける限り、屈辱も成功へのステップとなるのではないでしょうか。

プロフィール
編集者
Takeshi

医療専門紙の取材・編集職を15年以上の経験があり、担当編集としての書籍は、8冊(うち2冊は中国・台湾版)があります。

本サイトでは、日々の生活やビジネスで役立ち、古くから伝わる故事成語の深い意味や背景をわかりやすく解説し、皆さまの心に響くメッセージをお届けしたいと思っています。歴史や文学への情熱を持ちながら、長年のメディア経験を通じて得た視点を活かし、多くの方に「古き知恵の力」を実感していただけるようにしたいと思います。

Takeshiをフォローする
失敗成功
タイトルとURLをコピーしました