出典:韓非子
守株待兎(しゅしゅたいと)の意味
「守株待兎」とは、状況や時代の変化に応じた努力を怠り、過去の成功体験にしがみつくことの愚かさを説いた故事です。「株」とは樹木の切り株を意味し、待兎はうさぎを待つことを指します。
この故事は、偶然の成功が必ずしも繰り返されるわけではないという教訓として言い伝えられています。
なお、「株を守りて兎を待つ」「守株」(しゅしゅ)「待ちぼうけ」は同じ意味です。
「守株待兎」現代語訳
宋国の時代、田んぼを耕している農民がいました。
ある日、畑の中にあった切り株にウサギが走ってぶつかり、首を折って死んでしまいました。
これを見たその農民は農作業を辞めて、樹の切り株を毎日チェックしていました。
再び、ウサギが切り株にぶつかり、ウサギが手に入らないかと願っていました。
けっきょく、ウサギを得ることはできずに、この農民は宋国の笑い者となったということです。
守株待兎は、過去の成功に依存し、努力を怠る愚かさを象徴する言葉として広く知られるようになりました。
時代背景
この故事が生まれた中国・春秋戦国時代(紀元前770年〜403年)は、各国が争い、知略を駆使した統治が求められる激動の時代でした。韓非子は、法治主義を唱え、無駄な慣習や伝統への固執を批判しました。「守株待兎」はその思想のひとつであり、変化への適応や進取の気性が重要であると説いています。
現代ビジネスへの応用
マーケティング戦略
Kodak(2010年代): フィルムカメラで市場を支配していたコダックは、デジタルカメラへの移行を躊躇し、最終的に競争力を失いました。一方、ソニーやキャノンは柔軟に対応し、デジタル市場で成功を収めました。
技術進化への対応
Nokia(2000年代): 携帯電話市場でのトップシェアを誇っていたノキアは、スマートフォンの波に乗れず市場シェアを喪失していきました。一方、アップルはiPhoneで革新をもたらし、現在の市場をリードしています。
商品開発
BlackBerry(2010年代): フィーチャーフォン市場での成功に固執し、タッチスクリーンやアプリ主導型の市場に適応できず、シェアを失いました。一方、Samsung,XiaomiなどはAndroidを活用して柔軟に商品展開を行いました。HUAWEIは、Androidから自社のプラットフォームHarmonyを開発しました。
まとめ
「守株待兎」の故事は、過去の成功体験に固執することの危険性と、新たな状況への対応力の重要性を教訓としています。
現代のビジネス環境でも、変化の激しい市場に対応するためには、柔軟な発想と行動が不可欠です。過去の経験に学びつつも、新しい視点を持って挑戦し続けることが、持続的な成功の鍵となるでしょう。