多言は敗多し/孔子が語った「口は災いのもと」現代ビジネスに響く教訓

孔子

出典/論語

「多言は敗多し」とは

「多言は敗多し(たげんははいおおし)」とは、
「言葉が多ければ、それだけ失敗や過ちも増える」という孔子の教えです。

これは、現代のビジネスパーソンにとっても、極めてリアルな戒めです。
プレゼン、SNS、営業、雑談――発言が多いほど、評価は高くなると思いがちですが、話しすぎることで信頼を損ねることもあるのが現実です。

「多言は敗多し」の出典について

この言葉は、儒教の経典『論語』の中の一節に掲載されています。

「多言数窮(たげんすうきゅう)」
──『論語・陽貨』

意味は「言葉を重ねれば、やがて理屈が尽きて窮地に立たされる」というもの。
孔子は、「沈黙の知恵」や「簡潔な表現力」を重視していたのです。

なぜ、「言いすぎ」は失敗につながるのか?

① 情報の価値が下がる

何でもかんでも話す人は、「この人の話は軽い」と思われやすく、 発言の重みが失われます。

② 無駄な反感を買う

言葉が多いと、余計な一言で信頼を落とすリスクが高まります。 特に職場や商談の場では、言葉尻をとられやすく、敵をつくることにも。

③ 自分の立場を不利にする

交渉の場で口を滑らせて「手の内を明かしてしまう」ことも。 多弁は、自らの弱点をさらす行為になりかねません。 

30代ビジネスパーソンへの教訓

1. 会議では“結論先出し+沈黙”が最強

長々と話すよりも、要点を一言で伝える力が評価されます。 沈黙は「考えている証拠」とも受け取られ、余裕ある印象を与えます。

2. SNSやチャットでも“少ない言葉”が信用される

発信の自由がある現代だからこそ、発信に慎重さが求められる時代です。 「バズらせたい」欲求が失言につながることも少なくありません。

3. “語る”より“聴く”が人望を生む

部下や取引先との信頼関係は、自分が話すことより、相手の話を引き出すことで生まれます。 「聞き上手」こそ、ビジネススキルの基本です。

まとめ:「黙る力」が信頼と成果を生む

孔子の「多言は敗多し」という故事は、
現代の情報社会・ビジネス現場においても強いインパクトを持ちます。

✅ 話す量ではなく「質」で勝負する
✅ 必要なことを、必要なときにだけ伝える
✅ 自信がある人ほど、静かに構える

この姿勢こそが、信頼・評価・成果を大きく左右する鍵です。
“多言”を手放し、“沈黙の美学”を身につけましょう。


田中部長と「多言は敗多し」〜営業部、しゃべればしゃべるほどドツボにハマる!?〜

青山商事とのプレゼンを控え、緊張感が漂う営業部にて…


田中部長:「今日は、“言葉の力”で勝負するぞ!! プレゼンは“しゃべってナンボ”だ!!!」

佐藤さん:「はいっ! 私、昨日しゃべりすぎて夢の中でも営業してました!!

山本課長(苦笑):「いや、部長…今回は“しゃべりすぎると逆効果”って言ってたクライアントですよね?」

田中部長(キラリ):「ふっ、山本くん…知らないのか。
“多言は敗多し”――孔子の言葉だ。」

佐藤さん:「えっ!? 今日のプレゼン“しゃべるな”ってことですか!?!?」

田中部長(急ブレーキ):「…………しまった。真逆のこと言ってた。


💥【それでも止まらない!“多言”営業部の暴走】


🗯️作戦①:「つかみトークが止まらない」

(プレゼン開始5分前)

佐藤さん:「部長、緊張ほぐすために“つかみトーク”入れますね!」

田中部長:「いいぞ! 営業は“空気作り”が9割だ!」

(プレゼン冒頭)

佐藤さん:「いや~道が混んでましてね! 来る途中、ハトが信号無視してて~」

クライアント:「……それ、何分続くの?」

(10分後)→ まだハトの話してる

山本課長(小声):「もうハトに謝って早く本題に行ってぇぇ!!」


🗯️作戦②:「“盛る”“余計に語る”が営業ルール」

田中部長:「この商品、御社にピッタリなんですよ!!」

(盛りポイント一覧)

  • 実績→10倍に膨張
  • 開発秘話→架空の感動ドラマを創作
  • 社長の名言→勝手に名言化

クライアント:「へぇ〜…そんなにすごいんですか?(じっと見つめる)」

佐藤さん(小声):「部長…目が“本当?”って言ってます…

山本課長(心の声):「ああ〜、もう一言余計なの来るぞ……」

田中部長:「ちなみに、弊社の開発責任者は…滝に打たれながら発想を得たんです!!

(クライアント:絶句)


🗯️作戦③:「質疑応答地獄、無限ループモード」

クライアント:「この価格、御社で利益出るんですか?」

田中部長:「ええ、実はですね…」
→5分語る

「それに、背景としては…」
→さらに5分

「あと、私の前世の記憶では…」
→謎のスピリチュアル突入

佐藤さん(こっそり):「部長、今、3問連続で質問に答えてません…」

クライアント:「……あの、要点だけお願いできますか?」


🚨【まさかの最終局面】

(プレゼン終了時点)
所要時間:予定30分 → 実績75分
発言回数:予定20 → 実績約300
内容の深さ:中の上 → 情報量:圧縮不可

クライアント(超疲弊):「……今日は…ありがとうございました……」

(営業部、退室後)

クライアントA:「で、結局何が言いたかったの?」
クライアントB:「しゃべることが目的みたいだったよね…」


🧘‍♂️【翌朝:営業部反省会】

田中部長(ボロボロ):「……孔子の言う通りだったな……
“多言は敗多し”…つまり“黙っていればバレないことまで、自分でバラす”ってことだな…」

佐藤さん:「私、今日から**“1日30語まで”生活してみます!!**」

山本課長:「まず、普通に伝えるって難しいんだよな…ってしみじみ感じました。」


こうして営業部は、“しゃべること”が営業ではないという当たり前の事実に、超ド派手な失敗を通して気づいたのであった――。

でも、言葉が武器であるなら、
それを「撃ちまくる」のではなく「的確に使う」方がずっと強いのだ。

プロフィール
編集者
Takeshi

医療専門紙の取材・編集職を15年以上の経験があり、担当編集としての書籍は、8冊(うち2冊は中国・台湾版)があります。

本サイトでは、日々の生活やビジネスで役立ち、古くから伝わる故事成語の深い意味や背景をわかりやすく解説し、皆さまの心に響くメッセージをお届けしたいと思っています。歴史や文学への情熱を持ちながら、長年のメディア経験を通じて得た視点を活かし、多くの方に「古き知恵の力」を実感していただけるようにしたいと思います。

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