先ず隗より始めよ/有能な人材を呼び込むなら、まず身近な人物を大切にせよ

教訓

出典:戦国策

「先ず隗より始めよ」とは「先ず隗より始めよ」「先ず隗より始めよ」とは

「先ず隗より始めよ」(まずかいよりはじめよ)とは、中国の戦国時代に由来する言葉で、「大きな目標を達成するためには、まず身近なところから始めることが大切だ」という意味を持ちます。

この故事が表す具体的なエピソードは、王や指導者が“優秀な人材を集めよう”と考えたとき、最初に自分自身や身近な存在を登用することで、周囲の優秀な人たちを惹きつけるという考え方です。

本来は「有能な人材を呼び込むなら、まず身近な人物を大切にせよ」という文脈で語られます。しかし現代では、もっと広い意味で「大きな計画・試みを始めたいときは、まず取り組みやすいところから着手しよう」という解釈で使われることも多いです

  • 大きなことを成し遂げるには、まず自分の足元をしっかり固める
  • 周囲に“やる気”や“本気度”を伝えることで、賛同者が自然と集まってくる

「先ず隗より始めよ」の由来

1. 戦国時代の背景

中国の戦国時代(紀元前5世紀ごろ〜紀元前3世紀ごろ)は、各国が覇権を争った混乱の時代。各国の王たちは有能な人材を求めて、思想家や将軍を招聘し、国力を高めることにしのぎを削っていました。

2. 燕王(えんおう)と郭隗(かくかい)

「先ず隗より始めよ」の故事は、戦国時代の燕(えん)という国の王と、郭隗という人物のやり取りに由来します。

燕王が優秀な人材を集めたい
燕王は、燕の国力を蓄えるために「天下の優れた人材を我が国に招きたいが、どうすれば良いだろうか?」と臣下たちに問いかけました。

郭隗の進言
これに対して郭隗が「王様が本気で優秀な人材を求めるなら、まずは私のような者を重用してみてください。私が王から非常な厚遇を受けていると知れば、私よりも優秀な人材は必ずや集まってくるでしょう」と提案しました。

王が実行し、優秀な人材が集う
燕王は郭隗の進言どおり、まず郭隗を高い地位につけて礼遇しました。それを見た多くの才能ある人々が燕に集い、燕王の国は大いに力を得ました。


現代社会への応用

1.ビジネスや組織運営

たとえば、新規事業を立ち上げたり、大胆な改革を進めたりするとき、「まず隗より始めよ」の精神が活きてきます。社長やリーダー自身が率先して、近しい仲間や部下を手厚く育成し、実績を作ることで外部の優秀な人材が引き寄せられる――という流れが起こりやすくなります。

2. プロジェクトのチームビルディング

何か新しいプロジェクトを立ち上げるときも同様です。いきなり外部から大物を呼び込むのではなく、チーム内で才能を見いだして活用することで、プロジェクトが軌道に乗り、評判が高まれば、後から優秀な人材が加わってくれるかもしれません。

3. 個人の成長戦略

個人レベルでも、遠くにある大きな目標だけを見ていても、行動に移さなければ周囲の協力者や情報は集まりません。まず身近なこと(たとえば自分のスキルアップや小さな挑戦)に注力する姿勢が、周りの信頼を得て、大きなチャンスにつながります。

まとめ

「先ず隗より始めよ」は、「大きな野心や夢があるなら、まずは身近な人や自分自身を大切に扱い、信頼を得よう」というメッセージを現代人に伝えてくれます。壮大なプランを描くのは大切ですが、それを実現するためには、まず動き出すための土台や、周囲の共感が必要です。

田中部長と「先ず隗より始めよ」~営業部、まずは自分から!?~

ある日、営業部に 「新規プロジェクトのリーダーを決める」 という重要なミッションが降りてきた。しかし、田中部長が 「まずは自分がやる!」 という方針を打ち出し、営業部は大混乱に――!?


【登場人物】

  • 田中部長(50歳):自ら手本を示すと言いながら、なぜか周囲を巻き込む熱血リーダー。
  • 山本課長(40歳):現実主義のツッコミ担当。部長の暴走を止めるのが日課。
  • 佐藤さん(25歳):天然で無邪気。部長の方針を素直に受け取り、余計な行動をしてしまう。

田中部長:「みんな!この営業部にとって、歴史に残るプロジェクトが始まる!」

佐藤さん:「ええっ!?そんなにすごいプロジェクトなんですか?」

山本課長:「また部長が大げさに言ってるだけじゃないですか?」

田中部長:「今回は本当にすごい!新規クライアント開拓プロジェクトだ!」

佐藤さん:「わあ!新規クライアントってことは、私たちがどんどん新しい会社にアプローチするんですね!」

田中部長:「その通り!だが、そのためには“リーダー”が必要だ!」

山本課長:「またリーダー決めですか…。部長、ちゃんと適材適所で選びましょうよ。」

田中部長:「いや、ここで重要なのは“先ず隗より始めよ”の精神だ!」

佐藤さん:「えっ?なんですか、それ?」

山本課長:「これは、“大きなことを成し遂げるには、まず身近なところから始めるべき”っていう故事ですよ。」

田中部長:「そうだ!だからリーダーは… まずはこの私がやる!!

佐藤さん:「おおお!!さすが部長!」

山本課長:「いや、そもそも部長はいつもリーダーですよね?」


【田中部長の「先ず隗より始めよ」作戦】

作戦①:まずは自分が飛び込み営業!

田中部長:「まずは私が“営業の見本”を見せる!飛び込み営業だ!」

佐藤さん:「えっ!?今どき飛び込み営業なんですか?」

山本課長:「いや、今の時代、アポなしで行ったら普通に断られますよ。」

田中部長:「いや、直接顔を見せることが大事なんだ!見ていろ!」

(数分後、近所のオフィスへ突撃し、5分で戻ってくる)

佐藤さん:「どうでした?」

田中部長:「門前払いだった!」

山本課長:「ほら言わんこっちゃない。」


作戦②:「まずは自分から」スローガンを掲げる

田中部長:「次だ!営業部全員の意識を高めるため、“まずは自分から!”のスローガンを掲げる!」

佐藤さん:「えっ?どういうことですか?」

田中部長:「例えば、仕事の改善提案があるなら『誰かやってくれ』じゃなく、まず自分がやる!そういう意識改革だ!」

山本課長:「いや、それ普通に“主体性を持つ”ってことですよね?」

佐藤さん:「じゃあ、まずは私、会議室を全力で掃除します!」

山本課長:「いや、掃除より先に営業の提案を考えましょうよ。」

(佐藤さん、突然モップを持って猛ダッシュ)


作戦③:「部長が見本」と言ったのに、なぜか部下がやることに

田中部長:「そして、最終的には私が“新規営業のマニュアル”を作る!」

佐藤さん:「おおお!!すごい!」

山本課長:「いや、それはありがたいですけど、部長がやるって言って、また途中で私に投げません?」

田中部長:「そんなことはない!今度こそやり遂げる!」

(30分後――)

田中部長:「うむ…やっぱりこれは“部下が学ぶ機会”を作るべきだな!」

山本課長:「ほらやっぱり!!」

佐藤さん:「じゃあ、私がマニュアル作ります!」

田中部長:「よし!佐藤くん、任せた!」

山本課長:「結局、最初に決めた“部長がやる”って話はどこに行ったんですか?」


【商談当日:まさかの展開】

(営業部が新規クライアントとの初回商談へ)

クライアント:「本日はよろしくお願いします。」

田中部長:「こちらこそよろしくお願いします!我々は“先ず隗より始めよ”の精神で営業活動を行っています!」

クライアント:「えっ?どういうことですか?」

佐藤さん:「つまり、まずは部長が自ら営業活動をして、部下にも主体性を持たせるという…」

山本課長(小声で):「実際には途中で部下に投げてるけどな…。」

クライアント:「なるほど!自ら率先して動く姿勢は、我々の会社の方針と合致しますね。」

佐藤さん:「えっ!?本当に?」

クライアント:「ぜひ、次回の提案もお願いしたいです。」

山本課長(小声で):「まさかこんな理屈が通るとは…。」

田中部長:「見たか!これが“先ず隗より始めよ”営業だ!」

山本課長:「いや、もう少し普通にやってください。」

こうして営業部は、田中部長の “まず自分がやる!” という無謀な方針の中、なんとか契約を勝ち取ることに成功した。しかし、その方法が次回も通用するかは未知数であり、彼らのドタバタは続くのであった――。

プロフィール
編集者
Takeshi

医療専門紙の取材・編集職を15年以上の経験があり、担当編集としての書籍は、8冊(うち2冊は中国・台湾版)があります。

本サイトでは、日々の生活やビジネスで役立ち、古くから伝わる故事成語の深い意味や背景をわかりやすく解説し、皆さまの心に響くメッセージをお届けしたいと思っています。歴史や文学への情熱を持ちながら、長年のメディア経験を通じて得た視点を活かし、多くの方に「古き知恵の力」を実感していただけるようにしたいと思います。

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