出典:『抱朴子』外編巻32「尚博」
玉石混交(ぎょくせきこんこう)とは
玉(美しい貴重)と石(価値のない)が混じり合っている様子を表現しています。広義では、物事の中に価値のあるものと価値のないものが入り混じっている状況のことを意味します。
故事の背景
故事の背景には、古代中国の先人たちが自然界や人々の性格、社会の中で見られる混乱を観察した結果が背景にありまます。
「玉」と「石」が混ざり合うということは、一見すると美しいものと粗末なものが共存することを示しています。
つまり、物事の真贋や良し悪しが入り交じっていることを警告するものとして用いられています。

現代社会への教訓
優れた人材とそうでない人材が混在しているとされる社会で、どのようにして価値あるものを見極め、選別するかが潜在的な課題となっています。
ここでの教訓は、「表面的なものに惑わされず、見極める力を養う」ことの重要性です。
高級品で身に包んだ公貴を演じている人と、貧相に見える人を、見出しなみだけで評価することのリスクを警鐘します。
経営者やリーダーとして成功するためには、玉石混淆の現象を見抜く精査力と洞察力を養うことが重要です。チームメンバーや部下の行動、外部環境の変化、競合の動向などを分析し、どれが自社にとっての「玉」であるかを見極めていくことが求められます。

田中部長と「玉石混交」~営業部、良い案も悪い案もごちゃ混ぜ!?~
今月の大型プレゼンを控えた営業部。クライアントに響く「提案のアイデア」を出し合うためのブレインストーミングが始まったが、案は「玉石混交」状態で収拾がつかなくなっていく。
【登場人物】
- 田中部長(50歳):良いアイデアと悪いアイデアを見分けるのが苦手なリーダー。
- 山本課長(40歳):冷静に「石」を見極めるが、ツッコミが止まらない皮肉屋。
- 佐藤さん(25歳):無邪気で天然。提案の「石率」が高いが、たまに「玉」を投げる。
田中部長:「みんな!今回の大型プレゼンは、我が営業部の実力を示す絶好の機会だ!」
佐藤さん:「はい!クライアントをびっくりさせるアイデアをいっぱい出しましょう!」
山本課長:「びっくりというか、普通に“良いアイデア”を出す方が大事ですけどね。」
田中部長:「そこで今日は“玉石混交”をテーマにしたブレインストーミングを行う!」
佐藤さん:「玉石混交…?それってどういう意味ですか?」
山本課長:「“良いもの(玉)と悪いもの(石)が混ざっている状態”って意味ですよ。」
田中部長:「そうだ!我々はまず“石”も含めて全ての案を出し、そこから“玉”を見つけ出す!」
佐藤さん:「なるほど!じゃあ、どんどん提案していいんですね?」
田中部長:「もちろんだ!どんな案でも大歓迎だ!」
【提案が飛び交う:玉石混交状態】
佐藤さん:「じゃあ、まず私から!クライアント全員にノベルティで“営業部特製ぬいぐるみ”を配るのはどうですか?」
山本課長:「いや、それ絶対にいらないですよね。」
田中部長:「待て、山本!案を否定するな!ぬいぐるみには“営業部の魂”を込めれば、案外ウケるかもしれん!」
山本課長:「部長、それ“石”でしょ。次いきましょう。」
田中部長:「では次だ、山本!」
山本課長:「じゃあ、クライアントの具体的な課題に即したコンサルティングプランを提案します。」
佐藤さん:「あ、すごい真面目なアイデアですね!」
田中部長:「うむ、それは“玉”だ!次、佐藤くん!」
佐藤さん:「はい!営業部全員で“営業ダンス”を作って披露するのはどうですか?」
山本課長:「佐藤さん、それ玉じゃなくて砂利ですよね。」
佐藤さん:「えっ、ダメですか?みんなで踊ればチームワークが伝わると思ったんですが…。」
田中部長:「待て!案外ウケるかもしれないぞ!」
山本課長:「部長、すぐに“案外”とか言わないでください。ほとんど石しか出てませんよ。」
【会議はさらに混乱】
田中部長:「よし、では私の提案だ。“営業部の伝説”を小冊子にまとめて配るのはどうだ!」
山本課長:「部長、それ完全に石どころか岩ですよ。」
佐藤さん:「でも伝説の冊子ってちょっと面白そうですね!私、絵を描いてみましょうか?」
山本課長:「佐藤さん、ノリがいいのは分かりますけど、それ完全に方向がズレてますから。」
【混乱の中から生まれる“玉”】
(議論が白熱し、ようやく一筋の光が見えてくる)
佐藤さん:「でも、今までの提案を全部まとめてみたらどうですか?真面目なコンサル案をメインにして、ぬいぐるみや小冊子をオマケでつけるとか!」
田中部長:「おお、それは面白い!確かにクライアントの課題解決にフォーカスしつつ、営業部の個性をアピールできる!」
山本課長:「いや、冷静に考えてぬいぐるみは本当にいります?」
佐藤さん:「じゃあ、ぬいぐるみじゃなくて、営業部ロゴ入りボールペンとかにしますか?」
山本課長:「…まあ、それならいいかもしれませんね。」
こうして、営業部の「玉石混交」ブレインストーミングは大混乱の末、クライアントに響く提案がなんとか完成した。良い案(玉)と悪い案(石)が交じる中で、営業部は少しだけ成長したかもしれない。
まとめ
「玉石混淆」という故事は、物事の中に価値のあるものと価値のないものが混在している現実を示しています。現代のビジネスシーンでも、この教訓は、どの情報、どの人材、どの取引先を選ぶかを慎重に見極める力が求められます。成功するためには、見かけに惑わされず、真に価値のあるものを選び、育てていくことが重要です。