磨斧作針/大きな困難もやがて成し遂げられる

教訓

出典:「方舆胜览」磨针溪

「磨斧作針」とは?

「磨斧作針(まふさくしん)」は、「斧(おの)を磨いて針を作る」という意味を持つ中国の故事成語です。

  • 斧」は重くて太い鉄の塊、いっぽう、「針」はごく細い道具
  • 一見、不可能とも思える行為ですが、「根気強く取り組めば、どんなに大きな困難もやがて成し遂げられる」という教えが込められています。

この表現は日本語の類語として、「石の上にも三年」「継続は力なり」のように、地道な努力の積み重ねの大切さを説く言葉と言えます。

故事にまつわる説話

「磨斧作針」は、唐代の詩人・李白(りはく)にまつわるエピソードとして有名です。以下のような筋書きで語り継がれています。

  1. 李白が勉強を嫌って家を抜け出した
    幼少期の李白は、学問に身が入らず、途中で投げ出したくなることもしばしばでした。
  2. 道端で老婆が鉄の棒を磨く姿を見かける
    ある日、李白が散歩していると、1本の鉄の棒(あるいは斧)を擦り続けている老婆に出会います。不思議に思って「何をしているのですか?」と尋ねました。
  3. 「この棒を針にするんだよ」
    老婆はあっけらかんと答えました。李白は「そんなことができるはずがない」と思いつつも、老婆が根気よく棒を磨く姿を見て、「もしここまでの執念をもってコツコツ続ければ、どんなに困難な目標でもいつかは成就できるのだ」と悟ります。
  4. 学問に精進し大成する
    その後、李白は再び学問に励む決意を固めた――という逸話です。

この逸話から、んなに遠大な目標でも、諦めずに努力を続ければ必ず道は開けるという教訓が生まれ、「磨斧作針」という成語が広まっていったとされています。

現代への教訓

1. 現代ビジネスでの応用

  • 大きなプロジェクトも小さなタスクの積み重ね
    いきなり高いハードルを前に挫折しそうになったときも、まずは一歩ずつ着実に進めることが大切です。
  • 日々の継続が組織を強くする
    斬新なアイデアだけでなく、地道な業務改善や学習の積み重ねこそが企業・チームの競争力となります。

2. 個人の学習・スキルアップ

  • “コツコツ”が最短ルート
    新しい資格試験やプログラミング言語の習得に挑戦するなら、一気に結果を出そうとせず「毎日15分でも勉強する」などの習慣化が功を奏します。
  • 成果が見えにくい時期も諦めない
    鉄の棒が針の形状に近づくまでには長い時間がかかります。結果がすぐには出なくても、ちょっとずつ形が見えてくるまでは粘り強く続けることが肝心です。

3. 人間関係や人生設計

  • 時間をかけて理解しあう
    人間関係も、一朝一夕で築けるものではありません。相手を理解し、自分を開示し続ける“磨く”作業が大切です。
  • 焦りは禁物
    目指す人生像やキャリアが明確でも、焦って急ぐほど空回りすることがあります。確実にステップを踏むことで、結果的に早く目的地へ到達できるかもしれません。

まとめ

「磨斧作針」は、元々は唐代の詩人・李白の逸話として伝えられてきた故事で、「いかに大きな困難でも根気よく続ければ不可能はない」という普遍的な真理を示しています。
ビジネス、勉強、趣味、人間関係――どの分野にも通じる教訓として、下記の点を教訓として押さえておきましょう。

  1. 大きな変化は小さな行動の積み重ねから
  2. すぐに成果が見えなくても、あきらめずに継続することが力になる
  3. “才能”よりも“粘り強さ”が、結果的に夢を実現する原動力

もしも、目標に向かう過程で「本当にこのやり方でいいのだろうか?」と不安になったり、途中で挫折しそうになったりしたときは、「磨斧作針」のエピソードを思い出してみてください。


斧を針へと変えてしまうほどの粘り強い努力があれば、あなたの人生にも思わぬ展開と成功が待っているかもしれません。


田中部長と「磨斧作針」~営業部、無謀な努力で大混乱!?~

ある日、営業部に 「超難関な契約を勝ち取るミッション」 が舞い込む。しかし、田中部長が 「どんなに無理でも、続けていれば成功する!!」 という “磨斧作針”(斧を磨けば針になる=根気強く続ければ不可能も可能になる)の理論を持ち出し、営業部は 「無理なものを無理やりやる」 という カオス状態 に突入することに――!? 🔥


【登場人物】

  • 田中部長(50歳):どんな無理でも「努力すれば何とかなる」と信じる熱血リーダー。
  • 山本課長(40歳):冷静なツッコミ担当。部長の「斧を磨けば針になる」理論に頭を抱える。
  • 佐藤さん(25歳):天然で無邪気。部長の指示を 真に受けてさらに大惨事を起こす

田中部長:「みんな!! これは 営業部最大の挑戦 だ!!!」

佐藤さん:「ええっ!? 何があったんですか!?」

山本課長:「どうせまた、何か無謀なことをやろうとしてるんでしょう…。」

田中部長:「超大手企業の 青山商事 が、我々にプレゼンのチャンスをくれた!! もし成功すれば、営業部の伝説になる!!」

佐藤さん:「えええええ!!? でも、青山商事って 競争率がめちゃくちゃ高い 会社ですよね…?」

山本課長:「しかも、聞いた話では、プレゼンする会社のうち 99%は落ちる らしいですよ?」

田中部長:「だからこそ、我々は “磨斧作針” の精神で挑むのだ!!」

佐藤さん:「えっ!? 磨斧作針って何ですか?」

山本課長:「“斧を磨けば針になる”って意味で、どんなに不可能に思えても、努力し続ければ達成できる という故事ですよ。」

田中部長:「そうだ!! つまり、最初は無理だと思っても、続けていれば成功するのだ!!

山本課長:「いやいや、 現実的な努力 をしないと、ただの無謀な挑戦になりますよ!!」

佐藤さん:「なるほど!! じゃあ、 私たちも斧を磨きます!!

山本課長(小声で):「だから、それ比喩だからね!?」


【田中部長の「磨斧作針」作戦】

【作戦①:「営業スキルを鍛えまくる!!」】

田中部長:「まずは、営業の技術を極限まで鍛える!!」

佐藤さん:「えっ!? どうやってですか?」

田中部長:「毎日 100回プレゼン練習 だ!!」

山本課長:「いやいや、そんなにやったら 体力が尽きます よ!!」

(1時間後…)

佐藤さん:「あ、あの…もう 20回目 で声がガラガラなんですが…?」

田中部長:「まだまだ!! 斧を磨けば針になる!!」

山本課長(小声で):「喉が壊れたら、そもそもプレゼンできないですよね…。」


【作戦②:「クライアントの趣味を徹底リサーチ!!」】

田中部長:「次に、青山商事の社長の趣味をリサーチしろ!!

佐藤さん:「えっ!? そんなことして意味あります?」

山本課長:「社長の趣味を調べたところで、プレゼンの評価には関係ないでしょ?」

田中部長:「いや、社長が好きなことを話せば、親しみを持たれる!!

(数時間後…)

佐藤さん:「わかりました!! 青山商事の社長は “カブトムシが大好き” みたいです!!」

田中部長:「よし!! じゃあ、プレゼンの冒頭は “カブトムシの話” から入る!!」

山本課長(小声で):「いや、普通にプレゼンしろよ!!!」


【作戦③:「プレゼン資料を1,000ページ作る!!」】

佐藤さん:「部長!! プレゼン資料、何ページにしますか?」

田中部長:「多ければ多いほど良い!!

山本課長:「いやいや、普通 10~15ページ くらいが適正でしょ!?」

田中部長:「ダメだ!! 斧を磨くには 徹底的に資料を作りこむ !!」

(3時間後…)

佐藤さん:「できました!! 1,000ページ の資料!!!」

山本課長(小声で):「誰が読むんだよこれ…。」


【商談当日:衝撃の結末】

(営業部、青山商事のオフィスへ)

クライアント:「本日はよろしくお願いします。」

田中部長:「よろしくお願いします!! まずは “カブトムシの魅力” からご説明します!!」

クライアント:「えっ!??」

(社長の顔が一瞬 “えっ…?” という表情になる)

田中部長:「次に、こちらの 1,000ページのプレゼン資料 をご覧ください!!!」

クライアント:「……」

(場が静まり返る)

佐藤さん(小声で):「あれ…? なんか反応が微妙ですね?」

山本課長(小声で):「そりゃそうだろ…!!」


【まさかの逆転!?】

クライアント:「いや、正直 カブトムシの話はどうかと思いました し、資料が多すぎてびっくりしましたが…」

佐藤さん(小声で):「えっ…?」

クライアント:「ここまで “徹底的に努力” されたのを見て、御社の熱意を感じました。契約を前向きに検討します。」

佐藤さん:「えええええ!?!?!??」

田中部長:「見たか!! これが “磨斧作針”営業だ!!

山本課長(小声で):「いや、 たまたま努力が伝わっただけ ですよね!?」


こうして営業部は、 「無謀すぎる努力」 で、まさかの契約チャンスをゲット。しかし、次回も 「無理を押し通す」 方式が通用するかは 完全に未知数 であった――。

プロフィール
編集者
Takeshi

医療専門紙の取材・編集職を15年以上の経験があり、担当編集としての書籍は、8冊(うち2冊は中国・台湾版)があります。

本サイトでは、日々の生活やビジネスで役立ち、古くから伝わる故事成語の深い意味や背景をわかりやすく解説し、皆さまの心に響くメッセージをお届けしたいと思っています。歴史や文学への情熱を持ちながら、長年のメディア経験を通じて得た視点を活かし、多くの方に「古き知恵の力」を実感していただけるようにしたいと思います。

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